こんにちは、ひよこ(@yutotte_nambo)です。
不用品を処分する時ってどうしていますか。
以前はそのままゴミとして出したり、古本屋さんなどの中古ショップに持ち込んでいたことが多かったと思います。
インターネットが普及してからはヤフオクで出品する、買取注文をネットで依頼してダンボール箱に詰めて発送という手段も出ました。
さらにここ数年ではスマホアプリの拡充に伴いスマホのみで完結するサービスが普及しました。
そのサービスのひとつが皆さんご存知の「メルカリ」です。
2018年6月19日に東証マザーズ上場し、早5ヶ月が経ちました。マザーズNo.1の時価総額を誇ります。(2018.11.23現在)
今回はメルカリの設立から現在に至るまでを足跡を、さらには今後の展望について紹介したいと思います。
日本経済新聞社の奥平 和行氏の著書です。
1999年に同社に入社、2010年からは5年間の米シリコンバレー支局での経験、2017年より現職である編集委員に。IT、自動車、スタートアップに明るいです。
ベンチャーが育ちにくい日本で、設立5年で評価額10億ドル以上のユニコーン企業に成長したメルカリ。2018年11月にはメルカリ上での流通総額が1兆円を突破しました。国内7500万DL、MAU1100万人を超えるユーザーを抱えますが、フリマアプリでは後発でした。
競合を追い抜きフリマアプリ国内最大手となった理由は、設立者である山田新太郎の経験や英断そして共闘する優秀なメンバー陣とチーム、企業体制にあります。
ライバル企業やアプリの作り直し、現金問題など数多くの困難がありました。
さらには米国市場への進出も果たし、現在も投資フェーズとして継続的にリソースの多くを割きます。
米国への挑戦にかける想いは創業者 山田氏の原体験・ルーツからも垣間見えることでしょう。
もはやベンチャー企業の域から飛び出し、フリマ市場だけでなく様々なサービスを展開し、世界を牽引するテックカンパニーへの一歩を踏み出し始めています…。
こんな人におすすめ
- メルカリの歴史を知りたい
- サービス利用者
- 一歩抜きん出る企業のノウハウを盗みたい
- メルカリに投資している・する予定
- プロジェクトXのようなドキュメンタリーが好き
サービス利用者の方は読んでおいて損はないと思います。
もちろん、投資家とくに創業者や企業ミッションを重んじる方にも一読を勧めます。
読後の感想としてはドキュメンタリー要素が色濃く出ている印象です。
サイバーエージェント社長である藤田晋氏の著書「渋谷ではたらく社長の告白」に近いです。
体系的にノウハウを学ぶビジネス書を読んでいる感覚ではありませんでした。
たびたび “〇〇年に〇〇ということがあった” など時間の針が巻き戻ります。
正直なところ、時系列がバラバラで登場人物が多く推理小説くらい頭を使いました。読後に自分で年表をつくって整理し直したほどです…。
いち読者として、単純にメルカリのルーツを知りたいと思って読みました。特にどうしてこれほどまでに米国進出に注力するのだろうと疑問を持っていたことも大きな理由です。
また国内の個別株にも投資しているので、株式会社メルカリのユニークなポイントを確認するという思惑も在りました。
全体をザックリ説明
全12章構成です。
1,2章
メルカリの前身である株式会社コウゾウ設立以前の話です。
創業者の山田氏のルーツそして同氏が設立しエグジットした会社。それは結果的に禍根の残る売却となり、のちに退職します。ふとしたきっかけによる5大陸23ヶ国に渡る世界一周から、自身に宿る価値観を再認識し、共同創業者となる富島氏と石塚氏との企業を画策します。
3,4章
2013年のコウゾウ設立から5ヶ月でメルカリのリリースに至ります。驚くべきことに公開時には「検索機能」「売上金の出金」がありませんでした。当初からスピード感を持った開発体制が整っていたため、リリース後に実装されました。
5,6章
一言で表すとフリマアプリ乱立編です。2012年夏にリリースされ、のちに買収され楽天「ラクマ」に統合されるアプリ「フリル」が読モを中心に若い女性にヒットしていました。運営元ファブリック社の設立者である堀井氏の、シリコンバレーからの影響を含めた背景と戦略が描かれます。
メルカリとフリルを含む多くのサービスの戦略における共通点・相違点が明暗を分けます。
7章
大企業病化に陥るさなか、社員の方向性を維持するためにミッションとバリューを定義し共有します。
本書で再三登場する「なめらかな世界」とは効率的で均等な世界です。世の中には様々な物が溢れているのに、場所によっては全くモノの流れが異なり、欲しいものが手に入りにくい地域があります。
そんな世界を是正することがメルカリのミッションです。
8,9章
国内で多くのフリマアプリとの競争渦中である2014年、米国進出となる子会社を設立します。
アプリ仕様の日米統一を図るも文化の違いから、日米でソースコードを分けることに。苦戦しつつも広告戦略で効を成し、2016年夏には米国1000万DLを果たします。依然として米国市場を狙い続け、2018年春アプリの抜本的なリブランディングを遂げます。
10章
日本で拡大するなか、問題が取り沙汰されました。現金出品問題や売上金の流用疑惑、資金決済法の抵触…。
さらなるブランド価値向上や資金調達のために株式上場を画策するも問題解決せずには果たせません。ひとつひとつにフォーカスし、対処していく姿勢が描かれます。
11,12章
これからの話です。
新たにリーディングカンパニーとしての顔を持ち始めます。AIやブロックチェーンなど先進的な技術を活用するにあたり、テックカンパニーとしての存在感を出すために、インド工科大学生などの技術者の積極採用や研究開発組織R4Dの設立に至ります。
おわりに
メルカリのストーリーを知りたいという人には間違いなくオススメです。
これまでの歩みだけでなく、未来の絵図にも触れています。
本書で登場した書籍